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2008年03月21日

悪夢(その4)

ヘッポコSL空想小説第4話です^^;

どうしても、最初から読みたいとおっしゃる方は、下にある悪夢(その1)~(その3)を先にクリックしてね|゚Д゚)))コソーリ!!!!

悪夢(その1)

悪夢(その2)

悪夢(その3)


2030年3月20日(水曜日)午前8時 晴天 気温25℃ 湿度55%


「IWIは修理できたのか?」

「とりあえず、レンタルしてるの。私のIWIはいま修理中よ。でも、RLのことが落ち着かない限り、本格的にSLに戻るのはむずかしいと思う。」

悪夢(その4)

07年8月16日、俺たちは偶然にも同じ日にSLに誕生した。セクシービーチでCAMPしている彼女に、俺が声をかけたのがきっかけで知り合った。以来、20数年間、俺たちはSLの戦友として励ましあって生きてきた。

悪夢(その4)

最初から、俺は彼女に助けられてばかりだ。彼女は、SLをフラフラ彷徨っている俺を常にサポートしてくれた。そして、新しいもの、新しい情報を俺にもたらしてくれるのも彼女だ。それは、いまでも基本的に変わらない。

「まあ、こっちは平穏そのものだから。RLは大変だろうけど頑張れよ!」

ここは、男として強がるしかないだろう。

「そう言えば、インワールドに関して、大きなニュースが2つあるわ。」

彼女は、自分を落ち着かせるように一瞬、大きく深呼吸して俺に告げた。

悪夢(その4)

「1つは、チュウ国のSLがいよいよメイングリッドに接続する準備を始めているってこと。」

08年9月、チュウ国政府はメイングリッドと隔絶された独自のSLを構築していた。同国政府は、バーチャル通貨の流通によるRL金融・資本市場の混乱や、それに伴うネット犯罪の多発を独自世界構築の理由としていた。

だが、本当の理由は、西側世界における自由主義的な思想や性風俗などの国内流入を排除し、国家としてのイデオロギーを護り、共生党の一党独裁体制を維持したいというところにあった。

悪夢(その4)

しかし、チュウ国共生党の独裁体制もそう長くは続かなかった。中海万博が終わった翌年の2011年3月、曹小川・国防相を中心とした開放軍による軍事クーデターが発生。

開放軍は、習克平総書記・李近強首相をはじめとする共生党指導部を国家反逆罪で逮捕・処刑したことにより、62年間続いた共生主義国家・チュウ国は終焉した。

悪夢(その4)

当初、クーデターを起こした曹小川・国防相は国際社会から猛烈に非難されたが、大方の予想に反して、曹国防相は民主化のプロセスを実行し、12年夏には総選挙を実施した。多くの民主政党が乱立するなか、多数派を確保したのは周辺地域との融和と将来的な統合を訴えた国民統一党であった。

国民統一党政権は、ベイ国やわが国などとの外交関係の改善に努める一方、国内では政府による直接的な経済介入を排除し、徹底して民主的な市場経済の確立を目指した。ただ、SLの対外開放に関しては極めて慎重な態度を維持した。

悪夢(その4)

その背景には、国家戦略として自前のインワールドを発展させたいと考えていたことがある。すでに、世界のGDPに占めるインワールド経済の比率は4割を超えるまでに成長していたが、チュウ国では10%にも満たない水準に放置されていた。これは、長年にわたるSL鎖国政策によってインワールド自体が陳腐化してしまったからだ。

しかし、この数年は独自のインワールド構築に限界がみえ始め、政策の大転換があるのではと噂されていた。結局、国民統一党政権は外資導入によるSL再建を決意したということだろう。これは、1978年以来、第2の改革開放政策の実施といえる。

悪夢(その4)

「2つめは、この世界を根底から変えることだわ!」

「地球連邦会議が全人類のインワールド移住を全会一致で決議したの!」

俺は、事の重大さに立ちすくみ、思わず息を呑んだ。

悪夢(その4)


(つづく)


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