2008年02月09日
中国における仮想世界
最近、何かとお騒がせの中国ですが、13億の人口を抱える国の仮想世界の状況はどうなっているのでしょうか?
ちなみに、07年末で中国のインターネット人口は2.1億人(前年比7,300万人増)となり、毎日20万人づつ増えている計算です。それでも、ネット普及率はまだ16%に過ぎませんが、ブロードバンド普及率は77.8%ですから、SLなどがてきる環境は整っています。
SL統計によれば、07年末の中国のアクティブユーザー数は4,213人にとどまっていますが、将来的にはやはり大きな勢力になる可能性があるのでしょうね。
個人的には中国的SLが非常に気になっていたのですが、中国のサイトで、面白い記事を発見しました。以下、その内容をご紹介します。
「2007年、中国における仮想世界」
仮想世界のコミュニティあるいはウェブをみれば、大多数のユーザーが07年に参加したことがわかる。どうしてかと言えば、その答えはアンシェ・チュン(安社鐘:Anshe Chung)の成功物語に辿り着く。彼女がSL(第二人生)で功名をはせたのは、多くの中国人愛好家がちょうど仮想世界に参加した時期に一致するからだ。
1人の中国人、1人の百万長者、1人の女性、その形容詞のすべてが我々を積極的に引き付けるに足るものだった。仮想世界での成功は、決して夢物語ではない。他の業界と同様、機会があると思えば、中国人は蜂の巣をつついたようになる。
大多数の人間がSLに注目していたころ、もう一つの仮想世界が-HiPiHi(哈宝)がひっそりと中国に出現した。大々的な宣伝もなかったが、HiPiHiは完全な中国語版で営業を開始した。しかし、中国のユーザーがこの世界に興味を抱く前に、彼らは中国市場の扉を閉めてしまった。多くの中国人ユーザーは、HiPiHiの出現さえ知らなかった(その後、HiPiHiはmillions of usとの戦略的提携を発表し、国際的なブランドとして再登場することになった)。

9月になると、別のプラットホームNovoking(創想世界)が登場した。HiPiHiと異なる点は、都市部の女性をターゲットとし、ビジュアル面でよりファッショナブルになっており、設置されているオブジェクトもHiPiHiやSLと違って、都市生活をイメージさせるものばかりだ。さらに、土地や商品の取引ができない点も異なっている。

海外からは、Entropia Universe(安徳羅皮亜世界)が中国への進出を表明した。スウェーデンのMindark社と中国虚擬経済園区が共同運営することになっているが、中国虚擬経済園区は仮想世界を発展させるために政府によって設立された組織である。Mindark社によれば、08年中には中国語版が完成し、中国のユーザーにサービスが提供されるという。このほか、Uworld(由我世界)も08年には投入されると伝えられている。
SLも中国をなおざりにしているわけでわなく、07年末、香港企業RTMAsiaが代理権を取得し、08年には中国へ本格進出することになっている。SLの中国語版はすでに存在するものの、もっと多くの中国人ユーザーを引き付けるには、言語の壁や文化の違い、あるいはユーザーに対するサービス不足が致命的な障害となっている。もし、SLが中国で正式運営されれば、状況はかなり改善されるだろう。
この1年の間に、HiPiHi、Novoking、Uworldなどが将来の競争に備えて準備を進め、SLもこれらの強力な競争相手を待ち構えている、といった状況になっている。
ユーザーの反応は、どうだろうか?当初、多くのユーザーはアンシェ・チュンの物語に鼓舞されたが、いまはこうした成功モデルを再現するのは容易でないことに気付かされている。デザインなどの技術や英語能力がなければ、SLでお金を浪費するばかりになる。もちろん、美しい建築やうまい商業モデルを生み出すひとはいるが、それはごく一握りにすぎない。
海外の仮想世界に挫折した後、ユーザーの一部は中国の仮想世界へ向かった。しかし、HiPiHiもNovokingも完全なものとは言いがたく、目下のテスト版では彼らの要求を到底満足させることはできない。HiPiHiには、未だに仮想通貨がなく、Novokingもようやく土地機能をテストし始めたところである。
今後、中国に進出する仮想世界は、どれも同じような問題に直面するだろう。
まず第1に、中国政府は仮想経済に対して非常にセンシティブであり、仮想世界の経済システムが運営されるに従って、新しい政策や法規をいち早く公布してくるだろうということだ。仮想世界の運用会社は、この点を慎重に考慮しなければならない。
第2に、中国のユーザーは16~35歳が主流だが、彼らはネットゲームで遊び慣れており、自己の創意を表現することを必要としていないということだ。
ただし、忘れてならないのは、どんなことでも中国での変化は非常に速く、今後、どうなるかは誰も想像できない。

いまのところ、中国でも国産の仮想世界はうまく機能していないようです。
いちばん興味があるのは、RTMAsiaが代理権を取得して、SLが中国本土に本格進出するという点です。中国人が本来のSLに馴染めないのであれば、本来のインワールドと遮断された中国だけのSLでも作るつもりなのでしょうか?
この数年、中国ではネットゲームが大流行する反面、未成年者のネット中毒やネットゲームをめぐる犯罪が多発して社会問題になっています。そうしたなか、仮想世界に関しても政府が積極的に介入し、規制の網を敷こうとしているようなので、中国政府の検閲を受けた「中国的SL」が実現する可能性はかなり高いのではと思うのですが・・・。
◎出所は『第二経済週刊』07年12月19日付「2007年虚擬世界在中国」。
http://www.secondweekly.com/
◎RTMAsiaのアナウンスメント。
http://www.rtmasia.com/en/press_release_linden-lab.html
◎中国の仮想世界サイト「月亮門」(画像の出所)
http://www.moondoor.com.cn/html/index.html
◎中国のインターネット事情
http://news.ccw.com.cn/internet/htm2008/20080118_371483.shtml
ちなみに、07年末で中国のインターネット人口は2.1億人(前年比7,300万人増)となり、毎日20万人づつ増えている計算です。それでも、ネット普及率はまだ16%に過ぎませんが、ブロードバンド普及率は77.8%ですから、SLなどがてきる環境は整っています。
SL統計によれば、07年末の中国のアクティブユーザー数は4,213人にとどまっていますが、将来的にはやはり大きな勢力になる可能性があるのでしょうね。
個人的には中国的SLが非常に気になっていたのですが、中国のサイトで、面白い記事を発見しました。以下、その内容をご紹介します。
「2007年、中国における仮想世界」
仮想世界のコミュニティあるいはウェブをみれば、大多数のユーザーが07年に参加したことがわかる。どうしてかと言えば、その答えはアンシェ・チュン(安社鐘:Anshe Chung)の成功物語に辿り着く。彼女がSL(第二人生)で功名をはせたのは、多くの中国人愛好家がちょうど仮想世界に参加した時期に一致するからだ。
1人の中国人、1人の百万長者、1人の女性、その形容詞のすべてが我々を積極的に引き付けるに足るものだった。仮想世界での成功は、決して夢物語ではない。他の業界と同様、機会があると思えば、中国人は蜂の巣をつついたようになる。
大多数の人間がSLに注目していたころ、もう一つの仮想世界が-HiPiHi(哈宝)がひっそりと中国に出現した。大々的な宣伝もなかったが、HiPiHiは完全な中国語版で営業を開始した。しかし、中国のユーザーがこの世界に興味を抱く前に、彼らは中国市場の扉を閉めてしまった。多くの中国人ユーザーは、HiPiHiの出現さえ知らなかった(その後、HiPiHiはmillions of usとの戦略的提携を発表し、国際的なブランドとして再登場することになった)。

9月になると、別のプラットホームNovoking(創想世界)が登場した。HiPiHiと異なる点は、都市部の女性をターゲットとし、ビジュアル面でよりファッショナブルになっており、設置されているオブジェクトもHiPiHiやSLと違って、都市生活をイメージさせるものばかりだ。さらに、土地や商品の取引ができない点も異なっている。

海外からは、Entropia Universe(安徳羅皮亜世界)が中国への進出を表明した。スウェーデンのMindark社と中国虚擬経済園区が共同運営することになっているが、中国虚擬経済園区は仮想世界を発展させるために政府によって設立された組織である。Mindark社によれば、08年中には中国語版が完成し、中国のユーザーにサービスが提供されるという。このほか、Uworld(由我世界)も08年には投入されると伝えられている。
SLも中国をなおざりにしているわけでわなく、07年末、香港企業RTMAsiaが代理権を取得し、08年には中国へ本格進出することになっている。SLの中国語版はすでに存在するものの、もっと多くの中国人ユーザーを引き付けるには、言語の壁や文化の違い、あるいはユーザーに対するサービス不足が致命的な障害となっている。もし、SLが中国で正式運営されれば、状況はかなり改善されるだろう。
この1年の間に、HiPiHi、Novoking、Uworldなどが将来の競争に備えて準備を進め、SLもこれらの強力な競争相手を待ち構えている、といった状況になっている。
ユーザーの反応は、どうだろうか?当初、多くのユーザーはアンシェ・チュンの物語に鼓舞されたが、いまはこうした成功モデルを再現するのは容易でないことに気付かされている。デザインなどの技術や英語能力がなければ、SLでお金を浪費するばかりになる。もちろん、美しい建築やうまい商業モデルを生み出すひとはいるが、それはごく一握りにすぎない。
海外の仮想世界に挫折した後、ユーザーの一部は中国の仮想世界へ向かった。しかし、HiPiHiもNovokingも完全なものとは言いがたく、目下のテスト版では彼らの要求を到底満足させることはできない。HiPiHiには、未だに仮想通貨がなく、Novokingもようやく土地機能をテストし始めたところである。
今後、中国に進出する仮想世界は、どれも同じような問題に直面するだろう。
まず第1に、中国政府は仮想経済に対して非常にセンシティブであり、仮想世界の経済システムが運営されるに従って、新しい政策や法規をいち早く公布してくるだろうということだ。仮想世界の運用会社は、この点を慎重に考慮しなければならない。
第2に、中国のユーザーは16~35歳が主流だが、彼らはネットゲームで遊び慣れており、自己の創意を表現することを必要としていないということだ。
ただし、忘れてならないのは、どんなことでも中国での変化は非常に速く、今後、どうなるかは誰も想像できない。

いまのところ、中国でも国産の仮想世界はうまく機能していないようです。
いちばん興味があるのは、RTMAsiaが代理権を取得して、SLが中国本土に本格進出するという点です。中国人が本来のSLに馴染めないのであれば、本来のインワールドと遮断された中国だけのSLでも作るつもりなのでしょうか?
この数年、中国ではネットゲームが大流行する反面、未成年者のネット中毒やネットゲームをめぐる犯罪が多発して社会問題になっています。そうしたなか、仮想世界に関しても政府が積極的に介入し、規制の網を敷こうとしているようなので、中国政府の検閲を受けた「中国的SL」が実現する可能性はかなり高いのではと思うのですが・・・。
◎出所は『第二経済週刊』07年12月19日付「2007年虚擬世界在中国」。
http://www.secondweekly.com/
◎RTMAsiaのアナウンスメント。
http://www.rtmasia.com/en/press_release_linden-lab.html
◎中国の仮想世界サイト「月亮門」(画像の出所)
http://www.moondoor.com.cn/html/index.html
◎中国のインターネット事情
http://news.ccw.com.cn/internet/htm2008/20080118_371483.shtml
Posted by た~さん at 00:07│Comments(0)
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